「ASDなそら」管理人のそらです。
ASD(自閉スペクトラム症)当事者の視点で、
仕事や生活に役立つ情報を発信しています!
あなたは、何か困難に直面したとき、
どんな行動を取りますか?
- 問題を見て見ぬふりして突き進む
- 立ち止まって考え込んでしまう
- 頭が真っ白になって動けなくなる
誰しも、壁にぶつかれば迷います。
特に周囲に相談できない環境だったら、なおさらです。
ましてや、発達障害などによる認知の特性を持つ場合、
混乱やパニックが起きることも珍しくありません。

そんなとき、自分の力で状況を整理し、
思考を明瞭にする「武器」があります。
それが「メモ」なのです。
書籍紹介:『メモの魔力』(前田裕二 著)
この記事ではまず、
私の行動に大きな変化をもたらしてくれた
一冊をご紹介します。
それが、SHOWROOM株式会社代表・前田裕二さんによる
著書『メモの魔力』です。
この本は、単に「メモの取り方」を指南するものではありません。
メモを通じて自己理解を深め、
人生を切り拓く思考法を伝授してくれる一冊です。
前田さんは、日々の気づきや出来事を
「ファクト(事実)」→「抽象化」→「転用」という
順番でメモに落とし込み、それを人生のあらゆる場面に活かしています。
この本の中でも特に印象的だった言葉があります。
頭の中だけで考えるな。
メモを通じて、思考を“見える化”せよ
この言葉が、私の仕事のやり方やトラブルへの向き合い方を
大きく変えてくれたのです。

実体験:Excel関数の壁にぶつかったとき
これは、私が就労移行支援事業所に通っていたときの話です。
その日はExcel演習に取り組んでいました。

表計算やグラフ作成といった内容で、
自分にとっては比較的得意な分野のはずでした。
ところが、演習の中盤で立ち止まってしまったのです。
「条件付きの関数入力」がどうしても分からない──
たったひとつの関数をどう書けばいいのかが分からず、
1時間以上悩み続けてしまいました。
ついには思考停止、キーボードを打つ手も止まりました。

そんなとき、ふと心に浮かんだのが
『メモの魔力』のフレーズでした。
考えがまとまらないときこそ、書き出せ。
私はパソコンから手を離し、1枚のメモを取り出しました。
そして、頭の中で絡み合っていた情報を一つひとつ言語化していったのです。
書き出すことで見えた突破口
まずは、必要な条件を書き出しました。
求めたい値を “X” とする
A < X < B
X は A が「○」のときの Bの値
A ≠ ○ のときは除外
X の総和を求めたい
複雑だと思っていた問題も、
こうして数式のように分解してみると、
実は単純な構造だと気づきました。
頭の中で考えていたときは混乱していたのに、
紙に書き出しただけで視界が開ける感覚。
論理的に組み立てることで
「ああ、こうすればいいんだ」と答えに近づいていく感覚がありました。

メモは自分を助ける「もうひとりの自分」
最終的には、職員さんにも相談しました。

ただ、相談の中でも役立ったのが、先ほどのメモでした。
「ここまでやってみたんですが、こういう考え方で合ってますか?」
そう伝えると、職員さんは
「そこまで整理できていれば、あと一歩ですね」と
スムーズに解説をしてくれました。
問題の本質が書かれていたことで、他人にも伝えやすくなっていたのです。
つまり、メモは単なる記録ではなく、
自分の思考を整理し、
周囲とのコミュニケーションにも活かせる
「翻訳装置」のような存在だと実感しました。

「書くこと」は、考えることの始まり
頭の中にある「考え」を、そのまま言葉にするのは
意外と難しいものです。
特に、発達障害などで情報処理や構造化が苦手な傾向がある人にとっては、
思考を整理するだけでも負担が大きいかもしれません。

しかし、紙に書き出してみると、漠然としたモヤモヤが形を持ち始めます。
たとえば、今回のExcel関数のように、
一見複雑な問題も以下のように分解できます。
- 目的は何か?
- 条件に合うデータを合計したい
- 今ある情報は?
- 列の構成、条件の内容
- 必要なツールは?
- Excelの関数(SUMなど)
- わからないところは?
- 構文の書き方、エラーの原因
こうして段階的に要素を分けていけば、解決策が自分の中から導き出せるようになります。
『メモの魔力』の魅力を再確認
この体験を通して、
『メモの魔力』が語る「メモで人生は変えられる」という
メッセージの意味が、深く胸に刻まれました。
書くことで、自分の「思考回路」が目に見えるようになり、
不安が減って自信が生まれます。
そしてその記録は、
未来の自分を助けてくれる資産になります。

この本の素晴らしい点は「誰でも今すぐ始められる」ということです。
特別なツールや才能は要りません。
必要なのは「気づきを見逃さない姿勢」と「書く習慣」だけです。
最後に──あなたの中にも“魔法”がある
日常の中で、困ったとき、迷ったとき、不安になったとき。
「メモ」というシンプルな行動が、
思考を助け、行動を変え、結果を変えてくれます。
それは魔法のような力ではなく、
誰にでも備わっている“人間の力”です。
ただ、それを引き出すきっかけが必要なのです。
あなたも、今日からその一歩を踏み出してみませんか?
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