自閉スペクトラム症とコミュニケーション—苦手を理解し、共存する方法

発達障害

発達障害、特に自閉スペクトラム症において「会話が苦手」という方は本当に多いと思います.
とはいえ、例外なく自分も会話は苦手です.

『コミュニケーションが苦手、わからないけど、なんとなく』
この言葉は自閉スペクトラム症とともに生きる方々にはしっくり来ると思います.
当然、主症状が注意欠如多動症(ADHD)とともに生きる方でもそう感じるでしょう.

ただし自分はどうして?」が思いつきます. 発想は5W1Hですね.
義務教育の英語でよく出てきた疑問文の頭に出てくる単語です.
深掘り大好き人間なので気になってしょうがないのです.

5W1Hとは

・What 何を
・When いつ
・Where どこで
・Who 誰と
・Why なぜ
・How どのように

特に、”Why”「なぜ」はよく使用しています.

コミュニケーションは全部が詰まっている

「「コミュニケーション」を説明してください」
こう言われるとどう説明するか悩まれる方は多いと思います.

自分は熟考した上でこのような結論に至りました.

「コミュニケーションは全てである」

以下解説していきます.

会話は「言語 + 非言語」

「全て」である理由.

それは相手との声のやり取りだけでなく、
相手・自分の動作、声のトーン・大きさ、表情、服装など様々な要素が存在するためです.

「コミュニケーション」(Communication)という言葉を
「会話」と翻訳される、解釈される方は多いです.

しかし、これは間違いです.

communication

名詞
〔情報の〕やりとり、連絡、伝達
〔伝達される〕情報、メッセージ、手紙
〔お互いの〕意思疎通、共感、感情的つながり
(以下、省略)

communicationの意味・使い方・読み方
communication 【名】 〔情報の〕やりとり、連絡、伝達 〔伝達される〕情報、メッセージ、手紙 〔お互いの...【発音】kəmjùːnikéiʃən【カナ】コミューニケイション【変化】《複》communications - ア...

以上の引用から
「コミュニケーション」とは会話に加えて非言語で行われるものも含まれています.

言語+非言語=全部. こう置き換えてもおかしくはないと思うのです.

会話を分解してみよう

良い例がありましたので紹介します.

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000099414.pdf

厚生労働省HPより,発達障害専門プログラム ワークブックⅠ
7〜10ページ「コミュニケーションについて」を参照してください.

このような会話があるとします.

学校にて. 朝ー

A 「おはよ〜」 とBに向かってあいさつ.
B Aのあいさつには気づくも無言. 実は家族と喧嘩してしまった.

この中には、

  • Aがあいさつする手を振っているのかもしれない
  • Bは何もしないことをする、挨拶の声には気づく

このようにコミュニケーションは声や動作だけでなく
何もしないことを選択する、ことも含まれています。

この話には続きがあります.

その後ー

Aは話しかけようとしたが、Bは友人とは喋らずに机にうつ伏せになっていた.
AはBのことが心配だったが、Bの様子を見てそっとしておいた.

こちらにも、

  • AはBの様子を見る
  • Bの様子が普段と異なることを知る(普通は友人と話している事が多いのだろう)
  • Aは本当は話しかけたい
  • しかしBは机にうつ伏せになる
  • Bは一人にしてほしい事察してほしい
  • Aは話しかけたい気持ちを抑えてそっとしておく

会話を1つずつ分解していくと実は多くの過程を経てAはそっとしておく選択をしたのだと分かります.
これだけの物事を脳は処理しているのです.

つまり自閉スペクトラム症とともに生きる方々は
このような脳での処理がうまく行われていないのかな
、と考えています.
自分もどこか処理がなされていないのかな、と思います.
特に他人の様子を察することにおいては苦手だと思います.

『それじゃ「普通の人」はこれを日常的に何も問題なく行っているのか…』
障がい者目線からはそう感じてしまうほど不思議でしょうがありません.

一人で抱え込まずにみんなで解決しよう

「コミュニケーションは全てである」納得いただけたでしょうか.

数多くの過程があってこそコミュニケーションが成り立っています.
自閉スペクトラム症とともに生きる方なら脳の処理が追いついていないのか、と
自分の手が及ばないところが原因であることが分かります.

自分を責める必要はありません.

苦手なものは避けず、どう共存していくかを考えていきましょう.
この事は自分自身との会話で見つけていただければと思います.
できれば自身の得意なことに置き換えていくとよいでしょう.

  • メモを使って手記で会話する
  • メールなどの文字媒体を主な会話手段とする など

一人での解決が難しい場合、プロの方へ依頼しましょう.
カウンセラー、精神科医、発達障がい支援センターなど、その気になればすぐに見つかると思います.

その方々との相性問題は依然あります.
しかし合わなかったら変えてしまっても問題ありません.
相性が良い方を見つけるまで苦労するかと思いますが、粘っていれば出会えます.

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